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厨房の盲点-知っていますか? ダンボールの危険性

 

s-CIMG5547 食品衛生検査部では、食品の製造施設や厨房などの衛生チェックを実施しております。
おかげさまで昨年度は、延べ400件近い施設を訪問することができました。
一般消費者の食に対して安全・安心を求める声に応えるべく、食品業界全体が衛生意識を取り戻しつつある結果が、この数字に表れているのではないでしょうか。
食品の安全性に関する話題が、連日新聞やテレビで取り上げられ、様々な知識を身につけた消費者は、もはや素人ではありません。
常に厳しい目で店舗や製品をチェックされている、ということを忘れず、衛生管理を徹底してください。

そこで今回、うっかり見落としがちな厨房や食品の製造施設等に潜む落とし穴について、考えてみましょう。

私共が食品の製造施設や厨房等の立入衛生チェックを実施した際、よく改善事項としてアドバイスさせて頂く事項に、「ダンボールの持ち込み」があります。

「なんでダンボールがあかんの?」と、思われる方も少なくないでしょう。
知っていますか? ダンボールの危険性。
ダンボールを厨房等施設内に持ち込んではならない理由が幾つかあります。

 

ダンボールには細かい粉塵に混じり、微生物が多く付着しているためです。

弊社に送られてきたダンボールを拭取検査してみると、100平方センチメートル当たり数千~数万の雑菌が付着していました。
食材の産地や市場、また配送中などにどのような扱いを受けてきたのか分かりません。
もしかすると食中毒菌が付着しているかもしれません。
鮮魚類の配送に使用するウレタン箱も同様に多くの雑菌、ひどいときには腸炎ビブリオ菌が付着していることもあります。
こんなものを厨房内、施設内、また冷蔵庫内に持ち込むと、他の食材への交差汚染や2次汚染の原因になってしまうのです。

 

その保温性が問題になります。

ダンボールや鮮魚類のウレタン箱は保温性が高いので、これらの箱のままで冷蔵庫等に保管すると、冷却不良が発生し、中の食材が劣化してしまう恐れがあるのです。
食材を冷蔵保管する場合は、ダンボール箱やウレタン箱から出して保管しなければなりません。

 

異物混入防止のためです。

先にも触れたように粉塵が多く付着していたり、ダンボールを開梱する際に生じた紙片などのクズ、箱を組み立てる際に使用する大きなホッチキス状の留め金、またダンボールを裁断する際に生じるヒゲ状のダンボール片等がダンボールには付着しているのです。
まさに異物のデパート、異物の宅配便!
ダンボールを施設内、冷蔵庫内に持ち込むと、異物混入の原因も一緒に持ち込まれるということを覚えていてください。

 

衛生害虫の防止のためです。

ダンボールにはその構造上、トンネル状の穴が開いています。
この穴に衛生害虫(ゴキブリやハエ)が潜んでいたり、卵が産み付けられているのです。
私も実際、現場で見たことがあります。穴に小豆状のモノが埋め込まれているのを。
ダンボールを持ち込むと、知らない間に隅の方で衛生害虫が孵化し、お客様の目に付く所に現れて、驚かせたりたりするのです。
当然信用失墜です。一度そんなモノを見せられると、次からはなかなかその店に足が向きませんよね。

いくら施設内を清潔にしていても、衛生害虫はこのような方法で外部から侵入します。

トラップを用いて侵入を防止したり、排除することも重要ですが、彼らにはこんな抜け道があったのです。
ダンボールと一緒に衛生害虫を連れ込んでいませんか?

 

他にも細かい理由はありますが、ダンボールを持ち込んではいけない主な理由を、四つ挙げてみましたが、如何でしたか?
散々ダンボールの悪口を書きたてましたが、私は別にダンボールが憎いだか、きらいだとか、恨みがあるという訳ではありません。
軽くて丈夫、扱いやすく便利な箱だと思いますが、違う側面があることを知っておいて欲しいと考えています。

 

違う側面、それは食品衛生上、食品を扱う施設内に持ち込むには不衛生だ、ということ、つまりダンボールは不潔だ、ということです。
納品された食材等はダンボールから取り出し、ステンレストレーなどの別の容器に移して保管することが、衛生上不可欠なのです。
私共が訪問した、延べ400件近い施設を改めて振り返ってみますと、整理整頓が徹底し、清潔な作業環境を維持できている施設では、ダンボールをほとんど見かけませんでしたが、そうでない施設では、よくダンボールが持ち込まれていました。
衛生的で清潔な作業環境づくりの第一歩は、「不要物の撤去」です。それは「ダンボールの撤去」、「ダンボールの持ち込み禁止」だと言っても過言ではないでしょう。
皆様も、もう一度ダンボールとの付き合い方を見直されては如何でしょうか。