WHO「食品をより安全にするための5つの鍵マニュアル」 | 食中毒 | お役立ち情報 | 株式会社 東邦微生物病研究所

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WHO「食品をより安全にするための5つの鍵マニュアル」

 

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食品衛生に関する標語として、食中毒予防の三原則(つけない、増やさない、やっつける)があります。

「つけない」「増やさない」は、何をどうしたら良いのか直観的には分かりにくく、標語は行動指針を示すものなので、もう少し分かり易いことが望まれます。

また、わが国は、生食文化を持つとともに食品加工で分業化が進んでいるため、料理を提供する側において殺菌する手段が無い食材が多くあります。

そのため、食中毒の多くの原因を踏まえると「食中毒予防の三原則」だけでは全てをカバーできないと言えます。

WHOが発表した"Five Keys to Safer Food Manual"の「5 keys」は、食中毒防止3原則と食品衛生3原則の両方を一つの標語でまとめることができ、行動指針の標語として大変優れています。

食品をより安全にするための 5 つの鍵マニュアル 日本語版(発行 国立保健医療科学院疫学部)

https://www.niph.go.jp/soshiki/ekigaku/Five%20keys%20manual%20Japanese.pdf

 

そこで、この「5 keys」を「食品衛生三原則」や「食中毒予防の三原則」と対比してご説明します。

 

Key1「清潔に保つ」

食品衛生三原則の「清潔」と同じで、食品安全ネッワークが提唱している「食品衛生7S」は清潔を具体的に行う手法です。即ち、「Keep clean」が、最も基本となります。

 

・食品を取扱う前だけでなく調理中も頻繁に手を洗いましょう。

・トイレに行った後には必ず手を洗いましょう。

・調理器具および食品と接触する面は洗浄、消毒しましょう。

・調理場や食材をねずみ、昆虫、他の動物の害から守りましょう。

 

Key2「生の食品と加熱済みの食品を分ける」

「つけない」に相当します。日本では、販売されている食材について、そのままでも清潔と思い込んでいる人が多く、野菜、魚介類、食肉の固有の病原微生物は、加熱調理して始めて安全となることを知らない人が多いのです。

例えば、まな板を肉用、魚用と使い分けしていても、生の食材と加熱済みの食品を分けてない厨房施設が未だに多くあります。

料理番組でも生の食材を切って加熱した後、同じまな板で加熱済食品を切っているシーンが多く見られます。

「つけない」より、具体的に「生の食品と加熱済みの食品を分ける」と書いた方が明快といえます。

 

・生の肉類および魚介類を他の食材と分けて取扱いましょう。

・生の食品を扱う包丁やまな板などの調理器具は、加熱済み食品に使用する調理器具と分けて使用しましょう。

・生の食品と加熱済み食品は別の容器で保存しましょう。

 

 

Key3「よく加熱する」

「やっつける」に相当しますが、より明確な表現です。

 

・食品、特に肉類、卵および魚介類はよく加熱しましょう。

・スープやシチューのような食品は70℃以上にするため沸騰するまで加熱しましょう。

・肉類に関しては肉汁が透明で、ピンクではないことを確認しましょう。温度計を使用するのが理想的です。

・調理済みの食品はよく再加熱しましょう。

 

 

Key4「安全な温度に保つ」

「温度管理:冷却と加熱」や食中毒予防の三原則の「増やさない」に相当します。

三原則では、実際どうすれば良いのか直観的ではなく、消費者や調理人には分かりにくいかもしれません。

 

・調理済み食品を室温に2時間以上放置しないようにしましょう。

・調理済みの食品及び生鮮食品を保存するときは素早く冷却しましょう(理想的には5℃以下)。

・食べるときまで熱い状態を保ちましょう(60℃以上)。

・冷蔵庫内でも食品を長期間保存しないようにしましょう。

・冷凍された食品を室温で解凍しないようにしましょう。

 

 

Key5「安全な水と原材料を使う」

三原則には、含まれていません。わが国では、水や食材は安全と思い込み食品添加物や残留農薬へのリスクには注意を払う人は多くいますが、病原性微生物へのリスクまで注意が及ぶ方は案外少ないようです。

 

・安全な水を使用しましょう。

・新鮮で良質な食品を選別しましょう。

・安全性が確保された、殺菌乳のような食品を選びましょう。

・果物や野菜を、特に生で食べる場合にはよく洗いましょう。

・消費期限をすぎた食品を使用しないようにしましょう。