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シガテラ中毒について

 

私はしばしば釣りをすることがあり、先日インターネットを見ていた時に気になるニュースがありましたので紹介させていただきます。

「堺市で発生していたシガテラ中毒原因はイシガキダイ!?」といった記事を見つけました。

釣り人が釣ったイシガキダイを刺身、焼き魚、潮汁にして食べ、食後30分から1時間の間に唇、手足のしびれや激しい下痢症状が現れ、症状の重い何人かは入院することになったという内容でした。

 

シガテラ中毒とは

シガテラ中毒とは何か?

シガテラ中毒は南海に生息する毒ウツボやバラハタ、オニカマス、ハタ類等の肉や内臓に蓄積しているシガトキシン等の天然毒によって起こる食中毒です。

シガトキシン等を持つ魚は300種類にも及びます。

シガテラ中毒の症状は神経や胃腸障害を起こし、舌や手足の痛み、しびれ、頭痛、嘔吐、激しい下痢、関節痛等を伴います。死亡率は低いものの回復に時間がかかります。

現在のところ効果的な治療法は確立されておらず、完全治癒まで長ければ半年から1年もかかることがあります。

 

オセアニアや南太平洋の島々では毎年のように多発し、被害者は2万人以上、細菌以外の原因では世界最大規模の食中毒と言われています。

日本では南西諸島が中毒海域で、沖縄や南九州での中毒はしばしば発生しており、沖縄県衛生環境研究所のデータによれば、沖縄県では1988年から1998年までに届け出のあった例が22件あり、届け出されない例もかなりの数があると考えられ、その実態は不明です。

 

熱帯・亜熱帯の珊瑚礁周辺に住む魚によって起こるシガテラ中毒がここ10年程で、本州以北でも中毒事例が見られています。

2002年には千葉県内の料理店でイシガキダイのあらいやかぶと焼きを提供し、8人が中毒するという事例が発覚、その後も茨城県や神奈川県、大阪府等でも散発的に報告されています。

 

シガテラ中毒北上の原因はよく分かっておらず、日本水産学会の緊急シンポジウムでは、地球温暖化による海水温の上昇で、シガトキシン産生のもととなるプランクトンの生息域北へ広がっている可能性もあると考えられると指摘しています。

中毒の原因となるシガトキシンは煮ても焼いても消えないので、調理で防ぐことはできません。

同一魚であっても毒性の有無は個体差があり、外見で見分けたり中毒魚の予測は困難ですので、シガテラ中毒を避けるには、危険とされる魚を摂食しないようにすることです。