細菌増殖と温度管理について
細菌によって、それぞれ耐熱性が異なりますので、殺菌処理は、単純に加熱すればよいというものではありません。
代表的な細菌の死滅温度と時間の関係は下記の通りです。
但し、この条件は菌の抵抗性を示す目安となるものであり、食品によって殺菌条件が異なってきますので、詳細はは専門書などのデータに基づく必要があります。
細 菌 名 |
加熱温度(℃) |
加熱時間(分) |
病原大腸菌 |
60 |
15 |
サルモネラ |
55 |
10 |
黄色ブドウ球菌 |
60 |
2.5 |
ビブリオ菌 |
60 |
15 |
ボツリヌス菌(芽胞) |
115 |
16 |
カンピロバクター |
60 |
20 |
ウエルシュ菌(芽胞) |
100 |
4時間以上 |
セレウス菌(芽胞)(嘔吐型) (下痢型) |
95 95 |
3~36 20 |
*ボツリヌス菌は特に熱に強く、高温・長時間の加熱が必要であることが分かります。
加熱による食品の殺菌
加熱による殺菌は最も効果的な細菌制御の方法です。
殺菌方法は、ボイル殺菌、レトルト殺菌(加圧加熱殺菌)が使われます。
加熱後の冷却
加熱した食品をそのまま冷却すると、細菌の増殖するおそれがあります。
細菌は 30~40℃で最も増殖しやすいため、細菌が増殖しない温度まで素早く冷却する必要があります。
小分け冷却 : 食品を小さなブロックに分けて、冷却しやすくします。
送風冷却 : 強制的に扇風機などで風をあてて冷却する方法ですが、周りの空気が清浄であることが条件です。
流水冷却 : 野菜をブランチングしたもの、ゆがいたパスタなどは水で冷却できます。
包装後冷却 : 包装後に加熱する場合もあります。素早く冷却することが大事です。
食中毒菌は、栄養、水分、温度の3条件が揃うと時間とともに爆発的に繁殖します。
細菌の繁殖を抑制するには、TT管理(温度と時間)が要となります。即ち、加熱・洗浄して調理した食品の食べる迄の時間とその温度管理が大切です。
食中毒は、色や味、匂いでは判断できません。
例えば、腸炎ビブリオは、他の細菌に比べて増殖速度が非常に速いため、腐敗菌が増殖して食品の色や味の変化が表れる前に腸炎ビブリオが増殖して食中毒を起こすことがあります。
温度管理のポイント
細菌が増殖しやすい20℃~40℃の温度領域に長時間放置しない。
中心温度
食中毒菌が残留しないように、食品の中心部分が75℃以上かを中心温度計で測ること。
放冷
温かい食事すぐ提供する場合を除いて、食品に残存している細菌が余熱により再び増殖しないように、素早く室温まで冷却すること。
盛り付け
作業場の室温が高くなると菌が増殖しやすくなります。
室温の低い清潔な環境で、他の作業の影響を受けない場所で行うこと。
配送
物流の発達により食品の流通は広域化しており、流通にかかる時間も長時間を要するようになっていますので、食品の変質腐敗などの事故を防ぐための注意が必要です。
製品の保管
室温保存: 直射日光を避け、涼しいところで保存します。
冷蔵保存: 5℃以下で保存します。
温蔵 : 65℃以上で保存します。