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「食の安全性確保について」コンプライアンスの徹底

 

改正食品衛生法抜粋と食品事故発生時の社会的責任

近年、我国は、急激な国際化、情報化が進むなか、私達の食卓には世界各国の食品食材が並ぶようになり、居ながらにして各国の料理が楽しめるという有難い時代にはなりました。

しかし、反面、残留農薬やカビ毒に汚染された「事故米」に始まり、中国産や外国産を国産と偽装したり、消費期限、賞味期限を改ざんしたり、あげくには先客の食べ残し料理を使い回したり等、目先の利益のみを追求し、社会規範や社会ルールを無視する企業が跡を絶たないというのが現状です。

情報化が進展し、企業の良悪の評価(評判)も瞬時にして、全国津々浦々にまで伝達される時代です。企業も情報化時代にマッチしたコンプライアンス経営に取組む必要性に迫られています。

ただ単に、形式的に法令遵守するだけの企業は衰退し取り残されていくというのが現実です。

この様な社会情勢をふまえ、現在、多くの企業においては、コンプライアンス委員会等設置し、コンプライアンス経営への取組みを強化しているというのが現状です。

経営トップの強いリーダーシップのもとに、企業文化として醸成し、変革していくことが重要です。

特に、食品を取扱う企業にとっては、私達の生命、健康には勿論、経済面においても強い影響を及ぼします。

それだけに、より高い安全性が要求され、より高いコンプライアンスが要求されます。

この件については、2007年「食品関係企業の責務」でも掲載しましたが、顧客に対して責任を持って法令を遵守し、更に法律を上回る付加価値を提供する事で、顧客の信頼を確保する事にあります。

 

さて、それでは、食品関係企業にとって最も関連深い法律は何かと言いますと、「食品衛生法」です。

この法律は、S22年公布され、翌23年施行された法律で、時代にあわせ多くの改正がされてきましたが、平成15年大改正が行われ、今日に至っています。

現在、我国の食品衛生に関する運営は、全てこの法律に則り行われています。

食品関係企業にとってはコンプライアンスの原点ともいえます。

 

以下、関係条文を抜粋し、一部判り易い文章に換えて紹介します。

―食品衛生法抜粋―

 食品の取扱いは、清潔で衛生的に行われなければなりません。不潔、不衛生は、食品衛生法違反です。この法律は、不特定多数の人に共用する食品の取扱いについて、全て適用されます。

 

<第1条>(目的)

「この法律は、食品の安全性確保の為、公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずる事により、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康保護を図る事を目的としています。」

 

<第3条>(食品等事業者の責任と義務)

「食品取扱者は、自らの責任で食品の安全性を確保する為、

(1)必要な知識及び技術の習得、原材料の安全性確保、自主検査(細菌、理化学他)の実施等に努めなければならない。(事故発生を未然に防止する為、日常講ずべき措置です)

(2)食品等の仕入れ元の名称、その他必要な情報を記録し、保存するよう努めなければならない。(事故発生時の原因究明、被害拡大防止の為の措置です)

(3)食品衛生上の危害発生防止の為、前項規定の記録の国、自治体への提供及び危害原因食品の廃棄、回収等の措置を適確かつ迅速に講ずるよう努めなければならない。(事故発生時に講ずべき措置です)」と規定されました。

 

<第5条>(清潔衛生の取扱い原則)―本条は食品衛生法の精神でもありますー

「食品、添加物等の取扱いは、全て清潔で衛生的に行われなければならない。」とされています。

 

<第6条>(不衛生な食品の販売等の禁止)―本法規制の骨格をなす基本的な規定ですー

次の様な不衛生な食品は、販売又は、不特定多数への提供をしてはならないとされています。

(1)腐敗、変敗したもの、又は未熟なもの。

(2)有毒、有害な物質が含まれ、又は付着し、又はこれらの疑いのあるもの。

(3)病原微生物により汚染されているものや、その疑いのあるもので、人の健康を損なう恐れのあるもの。

(4)不潔、異物の混入、添加等により、人の健康を損なう恐れのあるもの。

 

<第11条>「食品、添加物等の基準及び規格」

 

<第13条>「総合衛生管理製造過程」(HACCP方式で、平成7年新設されました)

 

<第15条>(第5条に対応する取扱い規定)

「営業上使用する器具及び容器包装は、清潔で衛生的でなければならない。」とされました。

 

<第19条>(基準に従った適正な表示)「表示の基準」

-消費者の食品等購入時選択の重要な指標となりますー

<第20条>(虚偽表示等の禁止)「虚偽の又は誇大な表示又は広告をしてはならない。」

<第26条>(検査命令)「食品衛生上の危害発生防止の為、不衛生な食品等の検査命令」

<第28条>(行政庁が必要と認めるとき)「報告、臨検検査、収去」

-行政庁の三権限といわれています。現場での執行は「食品衛生監視員」が行いますー

<第30条>(営業施設等に対する監視指導)「食品衛生監視員」

<第50条>(有毒、有害物質の混入防止措置基準)「管理運営基準」-取扱い管理面のガイドラインですー

<第51条>(許可営業施設34業種等に対する施設設備基準)「営業施設の業種別基準」

<第52条>(都道府県知事、保健所設置市長許可)「営業許可」

<第54条、55条、56条>(事故発生時の処分等)「食品等廃棄、回収命令、営業許可取消、営業禁止、停止命令、施設設備改善命令等危害除去命令」

<第58条>(診断した医師の届出報告義務)「食中毒患者の届出」

<第71条、72条、73条、75条、78条>(罰則規定)「罰則」-(例)3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。法人の場合、1億円以下の罰金刑及び併科等

以上、食品関係企業に、特に関係深いと思われる条文を抜粋してみました。

 

―事故発生時の社会的責任―

 

それでは次に、万一、食品事故(食中毒等)を発生させた場合、どの様な社会的責任をとらなければならないかを考えてみたいと思います。 大きく3つの責任が発生します。

 

(1) 刑事上の責任:刑法による刑事責任が問われます。(例・過失傷害罪、過失傷害致死罪等)  

 

(2) 民事上の責任:民法による民事責任が問われます。(例・慰謝料、損害賠償、休業補償等。食品事故は、経済問題とさえいわれています)

 

(3) 行政上の責任:食品衛生法、JAS法等違反による行政処分が科せられます。(例・営業禁止、営業停止、廃棄命令、回収命令等) 

 

以上の社会的責任が問われますが、それ以上に、マスコミ等に取上げられ,公表され社会的な制裁を受ける事となります。

ちょっとした不注意や基本の軽視が、大事故に発展し、信用失墜に繋がります。

「信用を得るには、長い年月が掛かります。信用失墜は一瞬です。」