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TOC測定用試料の採水・保存の注意点

 

水中に含まれる有機物の種類は非常に多く、それぞれの有機物を分離・測定する事は極めて難しい操作が必要です。

そのため、これらの有機物を表す指標として、TOC(Total Organic Carbon:全有機体炭素)が用いられています。

TOCには、揮発性有機体炭素と不揮発性有機体炭素があり、分析の際に行うバブリング等で揮発性有機体炭素を除去するため、一般的にTOCの値は不揮発性有機体炭素を測定したものです。

しかし、先に述べたようにTOCは水中に含まれる有機物全てを表す指標なので、外部からの有機性の不純物の影響を受け易いという欠点があります。

そのため、分析を行うまでの間に他の有機物が混入してしまうと、それら全てがTOCとして測定されてしまいます。

 

TOCの値を上昇させる例として、一つは試料を長時間空気に触れさせる事があります。

これは空気中の塵やホコリ等の有機物や有機性の気体等が検体に溶け込む事や、空気中の二酸化炭素と検体中のアルカリ性の物質が結合する事が原因と考えられます。

 

もう一つの例として、採水前もしくは採水後に容器をアルコール等で洗浄する。

また、採水時に洗剤等の界面活性剤の混入や、配管自体に有機系の物質が付着している等直接的なものがあります。

これらについては先に述べた空気中の有機性物質の混入と比べて、遙かにTOCの値を上昇させてしまう事が多く、また界面活性剤については分析機器にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

こういった試料の場合、泡立ちや有機系の異臭がする等の特長が多いので、疑問に思われた際は再度採水して頂く事をお勧めします。

 

TOCの水質基準は、2009年に5.0mg/Lから3.0mg/Lに変更され、より一層厳しく規制されるようになりました。

より精度の高い分析結果を提供させて頂くためには、上記の事に注意して頂ければ幸いに思います。