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噴水の雑用水

 

近年の都市化で、大型マンションや商業施設が増え、私たちの生活は便利になった一方、都市部の人口の増加、交通渋滞、河川の汚染、緑の減少等様々な問題も起きています。

しかし新しい都市では、開発と並行して公園が整備され、緑化や噴水、人工池、人工小川等が創造され、都市のやすらぎ空間となっています。

夏の猛暑では、公園の噴水や人工池の周辺は涼しげで、またその中で水遊びする子供達の姿は、夏の暑さを忘れさせてくれるほほえましい光景です。

ところで、皆さんは、これら噴水や人工池等の水がどういった水であるかご存知でしょうか?

噴水・人工池等の水景施設の水は雑用水といい、その他トイレの洗浄や清掃、樹木の栽培など多様な用途に用いられます。

雑用水は人の飲用や炊事用、浴用などの日常生活用には使用しませんが、汚染された雑用水を噴水の飛沫等で吸引したり、小児が誤飲した場合健康被害が生じる恐れが指摘されています。

そのため雑用水には、人の健康に係わる被害を防止するため、厚生労働省が一定の基準を設けています(下表:建築衛生法の雑用水水質基準)。

 

【建築物衛生法の雑用水水質基準】

項目

基準

散水、修景、清掃用

pH値

5.8以上8.6以下

7日以内ごとに

1回検査

臭気

異常でない

外観

ほとんど無色透明

遊離残留塩素

0.1mg/L以上

(結合は0.4mg/L以上)

大腸菌

検出されないこと

2ヶ月以内ごとに

1回検査

濁度

2度以下

 

しかしながら、屋外にある噴水や人工小川等は水質の管理が困難である上、水を循環させている場合が多いため水質が悪化しやすく、管理が不十分だと大腸菌の発生やレジオネラ症(肺炎)の原因菌であるレジオネラ菌の感染源となる可能性があります。

レジオネラ症は、レジオネラ菌を含んだエアゾル(霧状になった水)を吸い込むことで感染し、抵抗力の低くなっている方(乳幼児・高齢者・病気の方など)の場合、肺炎を発病する危険性があります。

過去、2001年の9~10月に大阪府公衆衛生研究所と横浜市衛生研究所が大阪府と横浜市の公園やショッピングセンターなどの屋内外に設けられた水景施設82ヶ所を調査した結果、約2割の15ヶ所でレジオネラ菌が検出され、適切な管理と消毒が求められました。

最近では、水景施設の水質管理が強化され、定期的なレジオネラ菌検査を行うところも増えてきましたが、管理が不十分な場合、やすらぎの空間であるはずの噴水や人工池が思わぬ健康被害の場所にもなりかねない状況です。

暑い季節、小さな子供さんをお持ちの方々は、噴水や人工池周辺での子供の行動には十分注意してあげることが必要です。