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水道薬品・資機材の試験

水道施設において、浄水処理工程で注入される凝集剤や消毒剤等は、含有不純物による水道水への影響を防止するため、評価基準が定められています。
資機材・給水用具は、有害物質の溶出による水道水汚染を防止するため浸出性能基準が定められています。
試験方法ガイドライン(厚生労働省)、日本工業規格、日本水道協会規格等に基づく評価試験サービスを是非ご利用ください。

 

 

水道薬品類・資機材等の基準値は、水道法第5条第4項の規定に基づく「水道施設の技術的基準を定める省令」により定められています。
水道水質基準の頻繁な法改正に連携して、水道薬品類・資機材に関する試験項目、基準値も改訂されています。

公的認証機関への申請、自己認証への利用、見直し試験などに弊社の品質・評価試験サービスをご検討ください。

 

水道用薬品類の評価試験のご案内

 代表的な水道用薬品類 

凝集剤  ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリアクリルアミド
消毒剤  次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素
pH調整剤  硫酸、水酸化ナトリウム
吸着処理剤  粉末活性炭

 

浄水処理工程において、水道水に直接注入する薬品類は、一部の例外を除き評価基準を満たすことを確認しなければなりません。

 

水道用薬品の評価項目と基準一覧(水道施設の技術的基準を定める省令別表1)

 

評価項目

評価基準値

 カドミウム及びその化合物

 カドミウムの量に関して、0.0003mg/L以下であること。

 水銀及びその化合物

 水銀の量に関して、0.00005mg/L以下であること。

 セレン及びその化合物

 セレンの量に関して、0.001mg/L以下であること。

 鉛及びその化合物

 鉛の量に関して、0.001mg/L以下であること。

 ヒ素及びその化合物

 ヒ素の量に関して、0.001mg/L以下であること。

 六価クロム化合物

 六価クロムの量に関して、0.002mg/L以下であること。

 亜硝酸態窒素

 0.004mg/L以下であること。

 シアン化物イオン及び塩化シアン

 シアンの量に関して、0.001mg/L以下であること。

 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素

 1.0mg/L以下であること。

 ホウ素及びその化合物

 ホウ素の量に関して、0.1mg/L以下であること。

 四塩化炭素

 0.0002mg/L以下であること。

 1.4―ジオキサン

 0.005mg/L以下であること。

シス―1.2―ジクロロエチレン及びトランス―1.2―ジクロロエチレン

 0.004mg/L以下であること。

 ジクロロメタン

 0.002mg/L以下であること。

 テトラクロロエチレン

 0.001mg/L以下であること。

 トリクロロエチレン

 0.001mg/L以下であること。

 ベンゼン

 0.001mg/L以下であること。

 塩素酸

 0.4mg/L以下であること。

 臭素酸

 0.005mg/L以下であること。

 亜鉛及びその化合物

 亜鉛の量に関して、0.1mg/L以下であること。

 鉄及びその化合物

 鉄の量に関して、0.03mg/L以下であること。

 銅及びその化合物

 銅の量に関して、0.1mg/L以下であること。

 マンガン及びその化合物

 マンガンの量に関して、0.005mg/L以下であること。

 陰イオン界面活性剤

 0.02.mg/L以下であること。

 非イオン界面活性剤

 0.005.mg/L以下であること。

 フェノール類

 フェノールの量に換算して、0.0005mg/L以下であること。

 有機物(全有機炭素(TOC)の量)

 0.3mg/L以下であること。

 味

 異常でないこと。

 臭気

 異常でないこと。

 色度

 0.5度以下であること。

 アンチモン及びその化合物

 0.002mg/L以下であること。

 ウラン及びその化合物

 0.0002mg/L以下であること。

 ニッケル及びその化合物

 0.002mg/L以下であること。

 1.2―ジクロロエタン

 0.0004mg/L以下であること。

 亜塩素酸

 0.6mg/L以下であること。

 二酸化塩素

 0.6mg/L以下であること。

 銀及びその化合物

 0.01mg/L以下であること。

 バリウム及びその化合物

 0.07mg/L以下であること。

 モリブデン及びその化合物

 0.007mg/L以下であること。

 アクリルアミド

 0.00005mg/L以下であること。

 

「最大注入率」の設定使用する水道用薬品が評価基準を満たしていることを保証するためには、「最大注入率」(評価基準を満たすことを保証する最大の注入率)以下で水道用薬品を使用しなければなりません。

この最大注入率は貴施設の実情をベースに設定いたしますので、お客様と協議のうえで決めさせていただきます。

 

資機材等の浸出試験のご案内

 

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資機材と給水用具

水道水を供給する資材は、水道施設等での浄水処理・運搬過程で使用される「資機材」と、水道事業者の配水管より分岐した給水管等の「給水用具」に大別されます。

【資機材】

配水管、表層用材料、ろ材、シール材、粒状活性炭、接着剤、潤滑材、膜モジュールなど

【給水用具】

給水管、給水栓、止水栓、分水栓、湯沸器、水道メータ、バルブ類、継手類、浄水器、活水器など

 浸出試験

「浸出試験」とは、この資材等に含まれる有害物質について、浄水への溶出を確認する試験です。資機材・給水器具の材質によって全44試験項目から浸出しやすい試験項目に的を絞り、コンディショニング・浸出操作により浸出液を調製して浸出性能基準を満たしているか否かを試験します。

 

※浸出に用いる試験溶液は、模擬水道水(pH7、硬度45mg/l、アルカリ度35mg/l、残留塩素0.3又は1.0)を使用します。
※「浸出性能基準」とは、資機材等から溶け出した重金属等の有害物質による飲用水汚染を防止するための基準です。
※「コンディショニング」とは、資機材等からの浸出が時間経過によって定常状態に移行する現象を、浸出試験においてシミュレーションした試験操作です。浸出液が定常状態となるように模擬水道水で洗浄します。資機材の種類に応じたコンディショニング等の条件が定められています。コンディショニングを行わなくても基準に適合することが明確な場合は、省略可能です。

 

資機材の試験方法

「JWWA Z108 水道用資機材-浸出試験方法」、
「JWWA Z110 水道用資機材-浸出液の分析方法」
「資機材等の材質に関する試験(平成12年厚生省告示第45 号)」

 

試験項目は、水道施設の技術的基準を定める省令(平成12 年厚生省令第15 号 別表第2)及び残留塩素の減量の中から、資機材の材質に応じ、浸出しやすい項目について行います。

 

給水用具の試験方法

「給水装置の構造及び材質の基準に係る試験(平成9 年厚生省告示第111 号)」
「JIS S 3200-7 水道用器具-浸出性能試験方法」

 

試験項目は、給水装置の構造及び材質の基準に関する省令(平成9 年厚生省令第14 号)【表1】の中から、給水器具の材質の材質に応じ、浸出しやすい項目について行います。

 

試験項目

味、臭気、色度、濁度については、全ての器具について実施しなければなりません。
他の項目については、水道水と接触する部分の材質及び材料成分に基づいて浸出する可能性がある項目を選択して実施します。
ex.材質が銅合金の場合、(味・臭気・色度・濁度)と(銅・鉛・亜鉛・カドミウム)を実施します。

 

(給水装置の構造及び材質の基準に関する省令別表第1)

 

項 目 浸出液に係る基準
資機材に関する規格
(平成12年厚生省令
第15号)
給水装置に関する規格(平成9年厚生省令第14号)
末端給水器具 給水管等
カドミウム及びその化合物 0.0003mg/L以下 0.0003mg/L以下注3 0.003mg/L以下
水銀及びその化合物 0.00005mg/L以下 0.00005mg/L以下 0.0005mg/L以下
セレン及びその化合物 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下 0.01mg/L以下
鉛及びその化合物 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下注1 0.01mg/L以下
ヒ素及びその化合物 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下 0.01mg/L以下
六価クロム化合物 0.002mg/L以下 0.002mg/L以下 0.02mg/L以下
亜硝酸態窒素 0.004mg/L以下 0.004mg/L以下 0.04mg/L以下
シアン化物イオン及び塩化シアン 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下 0.01mg/L以下
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 1.0mg/L以下 1.0mg/L以下 10mg/L以下
フッ素及びその化合物 0.08mg/L以下 0.08mg/L以下 0.8mg/L以下
ホウ素及びその化合物 0.1mg/L以下 0.1mg/L以下 1.0mg/L以下
四塩化炭素 0.0002mg/L以下 0.0002mg/L以下 0.002mg/L以下
1,4-ジオキサン 0.005mg/L以下 0.005mg/L以下 0.05mg/L以下
1,2-ジクロロエタン 0.0004mg/L以下 0.0004mg/L以下 0.004mg/L以下

シス-1,2-ジクロロエチレン及び

トランス-1,2-ジクロロエチレン

0.004mg/L以下 0.004mg/L以下 0.04mg/L以下
ジクロロメタン 0.002mg/L以下 0.002mg/L以下 0.02mg/L以下
テトラクロロエチレン 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下 0.01mg/L以下
トリクロロエチレン 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下 0.01mg/L以下
ベンゼン 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下 0.01mg/L以下
ホルムアルデヒド 0.008mg/L以下 0.008mg/L以下 0.08mg/L以下
亜鉛及びその化合物 0.1mg/L以下 0.1mg/L以下注1 1.0mg/L以下
アルミニウム及びその化合物 0.02mg/L以下 0.02mg/L以下 0.2mg/L以下
鉄及びその化合物 0.03mg/L以下 0.03mg/L以下 0.3mg/L以下
銅及びその化合物 0.1mg/L以下 0.1mg/L以下注1 1.0mg/L以下
ナトリウム及びその化合物 20mg/L以下 20mg/L以下 200mg/L以下
マンガン及びその化合物 0.005mg/L以下 0.005mg/L以下 0.05mg/L以下
塩化物イオン 20mg/L以下 20mg/L以下 200mg/L以下
蒸発残留物 50mg/L以下 50mg/L以下 500mg/L以下
陰イオン界面活性剤 0.02mg/L以下 0.02mg/L以下 0.2mg/L以下
非イオン界面活性剤 0.005mg/L以下 0.005mg/L以下 0.02mg/L以下
フェノール類 0.0005mg/L以下 0.0005mg/L以下注1 0.005mg/L以下
有機物(全有機炭素(TOC)の量) 0.5mg/L以下 0.5mg/L以下 5mg/L以下
異常でないこと 異常でないこと 異常でないこと
臭気 異常でないこと 異常でないこと 異常でないこと
色度 0.5度以下 0.5度以下 5度以下
濁度 0.2度以下 0.2度以下 2度以下
エピクロロヒドリン 0.01mg/L以下 0.01mg/L以下 0.01mg/L以下
アミン類 0.01mg/L以下 0.01mg/L以下 0.01mg/L以下
2,4-トルエンジアミン 0.002mg/L以下 0.002mg/L以下 0.002mg/L以下
2,6-トルエンジアミン 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下
酢酸ビニル 0.01mg/L以下 0.01mg/L以下 0.01mg/L以下
スチレン 0.002mg/L以下 0.002mg/L以下 0.002mg/L以下
1,2-ブタジエン 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下
1,3-ブタジエン 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下 0.001mg/L以下
N,N-ジメチルアニリン 0.01mg/L以下
(JWWA規格)
残留塩素の減量 0.7mg/L以下
ヒドラジン 0.005mg/L以下
アクリル酸 0.002mg/L以下

 

注1 主要部品の材料として銅合金を使用している場合は基準値を、鉛及びその化合物:0.007mg/L、亜鉛及びその化合物:0.97mg/L、銅及びその化合物:0.98mg/Lとする。
注2 パッキンを除く主要部品としてゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を使用している場合は当分の間0.005mg/Lとする。

 

関連外部リンク

 (厚生労働省・日本水道協会)

水道用薬品の評価のための試験方法ガイドラインについて(平成12年3月31日衛水第21号〔一部改正平成23年1月28日健水発0128第2号〕)

資機材等の材質に関する試験(平成12年2月23日厚生省告示第45号[一部改正平成22年2月17日厚生労働省告示第50号])

浸出用液の調製における水質の確認方法及び浸出液の分析方法

部品試験又は材料試験における分析項目について

給水装置の構造及び材質の基準に係る試験(平成9年4月22日厚生省告示第111号)[一部改正平成22年2月17日厚生労働省告示第49号]

浸出用液の調製における水質の確認方法及び浸出液の分析方法

分析項目を具体的に判断するに当たっての基本的な考え方

社団法人 日本水道協会